【歌詞の意味】RADWIMPS / 心臓【考察】

初期RADの"心臓"です。

RADWIMPSの歌詞の中で、"心臓"というワードは結構登場します。

RADの名曲中の名曲「有心論」に登場する"心臓"であったり、

こちらも名曲中の名曲「オーダーメイド」でも登場する"心臓"です。

さらに、小松菜奈さんと坂口健太郎さんが主演、藤井道人監督の映画「余命10年」の主題歌である「うるうびと」に登場する"心臓"も重要ワードです。

そして、新海誠監督とRADWIMPSで3度目のタッグを組んだ映画「すずめの戸締まり」の主題歌の一つである「すずめ feat.十明」に登場するのは、"心の臓"です。

さて、初期RAD(当時10代の野田洋次郎さん)は、初代"心臓"をどのように表現したのでしょうか。少しだけ紐解いてみたいと思います。

歌詞全文

心臓

あなたのことを考えると 「僕も素直に生きてみたいなぁ…」
そんな気にもなるんです
あなたのことを考えると この世のすべての悲しいことも
全部 「ふわっと ふわっと」 頭から消えていきます

あなたは僕に言った気がする 「強い人にはならないでね」と
どうやらなれそうにもないよ
あなたを一度だけ抱くことができた あの寒い寒い夜も
あなたはもう忘れてるね

あなたの素晴らしさを 表すことのできる言葉が
この世にまだ 残っているのなら 拾い集めにゆくよ すぐに

今からあなたのもとへ走るよ 足がちぎれ落ちるのも忘れるよ
五体が届かなくとも この脈打つ心臓を見てくれ
あなたがいるから鼓動を刻み あなたがいるから紅く染まるよ
あなたがいるから僕は生きられる あなたがいなけりゃ僕は…
死んでるよ

あなたのような人にいつかなると僕は心に決めたけれど
どうやらなれそうにもないよ
百年たっても千年たっても ずっと ずっと ずっとその先も
あなたを見てることでしょう

そして僕に歌う力が 残っているのならば
あなたのところに 必ず届けにゆくよ いいですか

今からあなたのもとへ走るよ 足がちぎれ落ちるのも忘れるよ
五体が届かなくとも この脈打つ心臓を見てくれ
あなたがいるから鼓動を刻み あなたがいるから紅く染まるよ
あなたがいるから僕は生きられる あなたがいなけりゃ僕は…
死んでるよ
今からあなたのもとへ走るよ 足がちぎれ落ちるのも忘れるよ
五体が届かなくとも この脈打つ心臓を見てくれ
あなたがいるから鼓動を刻み あなたがいるから紅く染まるよ
あなたがいるから僕は生きられる あなたがいなけりゃ僕は…
死んでるよ

僕は… 君は… 僕の…
心臓

作詞:野田洋次郎

収録アルバム

1stアルバム「RADWIMPS」の3曲目です。

曲の特徴

ゆったりとしたテンポの、語りかけるような曲です。1stアルバムは大体そうなのですが、2ndアルバム以降に見られるような少しトリッキーな歌詞はあまり見られなくて、シンプルで分かりやすいと思います。ただやはり、1stアルバム全体で共通の世界観があるので、通して聴くとより味わい深いというのと、それだけでなく、RADWIMPS、RADWIMPS2、RADWIMPS3、RADWIMPS4、と、4枚のアルバムを通して共通の世界観があったりします。

歌詞考察・解釈

君(あなた)

まずは冒頭。

あなたのことを考えると 「僕も素直に生きてみたいなぁ…」
そんな気にもなるんです
あなたのことを考えると この世のすべての悲しいことも
全部 「ふわっと ふわっと」 頭から消えていきます

基本的に初期RADは、この世界観ですね。僕にとって君(あなた)は、とても素敵な人なんです。素直で美しくて純粋で。へそ曲がりで醜くて邪心に溢れた僕とは正反対で。

そんな君には、こんな僕を浄化する作用があるみたいですし。(なんだか「有心論」みたいですね。)

その気持ちで聴くと、この歌詞は、スッと入ってきます。

強い人にはならないでね

あなたは僕に言った気がする 「強い人にはならないでね」と
どうやらなれそうにもないよ

このワードは、解釈の余地がありまくりで少し難解。難解と言っても、別に正解があるわけではないので、自由に発想を膨らませて良いとは思いますけどね。

「強い人にはならないでね」というのは、自立してしまったら私に頼ってくれなくなってしまうから、寂しいからやだよ、なのか。強がったりしないでね、ありのままを見せて欲しいよ、なのか。おそらく、"あなた"の真意と、"僕"の解釈もきっと異なるのでしょう。言ってる方と、受け止めてる方で、"強い人"の意味合いが少し変化してそう。

一度だけ抱くことができた

あなたを一度だけ抱くことができた あの寒い寒い夜も
あなたはもう忘れてるね

そしてこれまた難解。"抱く"というのは文字通りなのかどこまでなのか。多分そんなに深くもない気がしないでもない。ハグなのかハグハグなのか。はたまたハグハグハグなのか。

僕にとっては大きな大きな出来事も、きっとあなたにとっては小さな小さな忘れているような出来事でしょう?そんな意識が垣間見えます。

あなたの素晴らしさ

あなたの素晴らしさを 表すことのできる言葉が
この世にまだ 残っているのなら 拾い集めにゆくよ すぐに

僕は、あなたの素晴らしさを表す言葉を探しています。そこら辺にあたる言葉では適切に表現出来ないのです。それくらいあなたは素晴らしくて尊くて。

"言葉で言い表せないくらい素晴らしい"というフレーズの別表現みたいな感じですね。

あなたがいるから… あなたがいなけりゃ…

今からあなたのもとへ走るよ 足がちぎれ落ちるのも忘れるよ
五体が届かなくとも この脈打つ心臓を見てくれ
あなたがいるから鼓動を刻み あなたがいるから紅く染まるよ
あなたがいるから僕は生きられる あなたがいなけりゃ僕は…
死んでるよ

ここでついに"心臓"が登場します。RADWIMPSの曲というのは、曲名が歌詞の中に出てこないことも多いのですが、そのあたりも含めて直接的な表現になっています。

最後のフレーズも、とても直接的ですね。

あなたのような人

あなたのような人にいつかなると僕は心に決めたけれど
どうやらなれそうにもないよ
百年たっても千年たっても ずっと ずっと ずっとその先も
あなたを見てることでしょう

"あなた"は素晴らしいから、僕もそんな素晴らしい人になりたいと、そう思ったけれども、

"あなた"は素晴らしすぎるから、僕には到底届かなくて、だからずっとずっと見ているだけなんでしょう。

あなたのところに届けにゆくもの

そして僕に歌う力が 残っているのならば
あなたのところに 必ず届けにゆくよ いいですか

・あなたの素晴らしさを表すことのできる言葉

・歌う力が残っているならば必ず届けにゆく

そしてこの後、再び以下のフレーズが繰り返されます。

今からあなたのもとへ走るよ 足がちぎれ落ちるのも忘れるよ
五体が届かなくとも この脈打つ心臓を見てくれ
あなたがいるから鼓動を刻み あなたがいるから紅く染まるよ
あなたがいるから僕は生きられる あなたがいなけりゃ僕は…
死んでるよ

さらに最後、以下のフレーズで締めくくります。

僕は… 君は… 僕の…
心臓

君は、"僕の心臓"。あなたがいるから僕は生きられるというのを、究極の表現に昇華させています。

まとめ

全般的に、初期RAD(特に1stアルバム)は直接的な表現が多い、それ以降は段々と間接的な味のある表現に進化していくという印象を持っているのですが、根本的な世界観は変わっていない、という印象もあります。

この"心臓"という曲の、"君は僕の心臓"という表現は、「RADWIMPS 4〜おかずのごはん〜」(4thアルバム)の「有心論」に登場する"心臓"に近いものがあります。

その意味でも、RADWIMPSからRADWIMPS4までの4つのアルバムは、一編のものとして、ぜひ通しで世界観を感じていただきたいですね。