【歌詞の意味】RADWIMPS / 祈跡(シングルバージョンとアルバムバージョン)【考察】

祈跡(きせき)です。奇跡でも軌跡でもありません。祈りの跡です。

Wikipediaによると、作詞者の野田洋次郎さんから以下のコメントが出ているようです。

野田曰く『「生」、「死」というのが大きなテーマです。自分が知らない場所、知らないモノっていうのが、自分の知っている場所やモノの何億倍も多くある。でも生きていく上でそういった知らないモノとかを知ろうとするだけでも大きな価値があると思う。そして俺は新しい発見をするたびに自分の「生」をすごく感じる。『祈跡』は、俺が今まで生きてきた中で一番の発見と、それに対する怒りと、願いを込めた歌です。』

出典:祈跡 - Wikipedia

さらに、以下のような話もあります。

「happen for(奇跡は起こる)」から曲の長さが8分4秒になっている。

出典:祈跡 - Wikipedia

有心論」でも、曲の時間と歌詞をリンクさせるような仕掛けがありましたが、こんな初期の頃から遊び心満載な仕掛けを入れていたんですね。

以上は、歌詞を見ていく上で重要なヒントになりそうです。では、見ていきましょう。

収録アルバム

2ndシングル「祈跡」の1曲目に収録されています。

また、2ndアルバム『RADWIMPS 2 〜発展途上〜』には、「祈跡 -in album version-」として収録されています。

シングルバージョンとアルバムバージョンでは、曲調および曲の長さが異なります。シングルバージョンにしか存在しない歌詞もあります。

歌詞全文

祈跡(シングルバージョン)

Today six billions of people are breathing, feeling, and living
Today fifty hundreds of children are starving, fearing, and dying
Would you tell me why? What could I do with this
Tell me why how could I remember this

Life is yours because your imagination is all there for you
My love is for you because my inspiration is all here for me

Look upon the brightest stars
You never know you have your own in your body
That's the reason you ask yourself why??
What's the message that's written in the sky?
Would you tell me why?

僕はなんだかとても悲しいよ
だって僕が笑っている隣で誰かが死んでいく
僕はなんだかとても悔しいよ
だってそれでも生きたいと思っている僕がここにいる

生きたくても生きれねえ やつがいるんだって
そんなんも考えないで 生きてる気になんなって
そうだろう? だってそうだろう
俺たちってただの人間って言われて終わりかもしんないけど
人間として生きてる 命として息してる
「これ以上素晴らしいことはない」って分かっている
心で分かっている 想いで分かっている
心で分かっている 想いで分かっている

今でも地球(ここ)にある 忘れ形見
いつか僕が きっと君に 届けるから
泣いている この星も僕も
僕は君を 君は僕を 愛せるはずだから
それぞれの命が生んだ
一人の祈りが生んだ 歌がここにある

今も

死んだ後の世界ってのを 僕は本当に信じたいよ
だって今日まで 幸せを知ることなく死んだあの人
いつかどこかで会えるの? 天国で報われるの?
僕らはどこにいくの? どこにいけばいいの?

(Where do we go? Where do they go?
Why can't we be the same you and me)

笑うことなく 喜び合うことなく 消えた同士(とも)と再び出会う
天国ってとこで巡り合う その時胸張ってこう話す
「嬉しかった 美しかった「幸せ」ってやつが溢れていた
いつかまた行ってみよう 「愛」ってやつを教えよう」

生きたくても生きれねえ やつがいるんだって
そんなんも考えないで 生きてる気になんなって
そうだろう? だってそうだろう
俺たちってただの人間って言われて終わりかもしんないけど
人間として生きてる 命として息してる
「これ以上素晴らしいことはない」って分かっている
心で分かっている 想いで分かっている

今でも地球(ここ)にある 忘れ形見
いつか僕が きっと君に 届けるから
泣いている この星も僕も
僕は君を 君は僕を 愛せるはずだから
それぞれの命が生んだ
一人の祈りが生んだ 歌がここにある

いつも

回っているのはこの地球で
かつて大地は一つだって
あの星は 何億年前の光で
宇宙はだんだん膨らんでいて

でもそんなことじゃなくて もっともっと他にあって
「この星に生きていた私たちは」って言うための証たちが

流れ星が見えたら ねえ 夢よ叶えと祈るんだ
胸が裂けそうになったら それを君は恋と呼ぶんだ
怒りが僕たちを包む最後の光になるその日まで
僕は君を忘れはしないだろう 一度も出会うことはなくとも

君をきっと覚えている 僕はきっと覚えている
鳥も 森も 星も 月も あの子も 優しい地球は覚えている

今でも心に 忘れ形見
いつもここに ずっと胸に 溢れてんだよ

笑って 抱き合っている 君と僕とで
いつか必ず来る そんな時を待ちながら生きていこう
溢れ出さぬよう 忘れ去らぬよう
僕が消えて無くなる日が来るまで
ずっと ずっと ずっと

出典:RADWIMPS/祈跡 - 作詞:野田洋次郎

祈跡 -in album version-

Today six billions of people are breathing, feeling, and living
Today fifty hundreds of children are starving, fearing, and dying
Would you tell me why? What could I do with this
Tell me why how could I remember this

僕はなんだかとても悲しいよ
だって僕が笑っている隣で誰かが死んでいく
僕はなんだかとても悔しいよ
だってそれでも生きたいと思っている僕がここにいる

生きたくても生きれねえ やつがいるんだって
そんなんも考えないで 生きてる気になんなって
そうだろう? だってそうだろう
俺たちってただの人間って言われて終わりかもしんないけど
人間として生きてる 命として息してる
「これ以上素晴らしいことはない」って分かっている
心で分かっている 想いで分かっている
心で分かっている 想いで分かっている

今でも地球(ここ)にある 忘れ形見
いつか僕が きっと君に 届けるから
泣いている この星も僕も
僕は君を 君は僕を 愛せるはずだから
それぞれの命が生んだ
一人の祈りが生んだ 歌がここにある

今も

死んだ後の世界ってのを 僕は本当に信じたいよ
だって今日まで 幸せを知ることなく死んだあの人
いつかどこかで会えるの? 天国で報われるの?
僕らはどこにいくの? どこにいけばいいの?

笑うことなく 喜び合うことなく 消えた同士(とも)と再び出会う
天国ってとこで巡り合う その時胸張ってこう話す
「嬉しかった 美しかった「幸せ」ってやつが溢れていた
いつかまた行ってみよう 「愛」ってやつを教えよう」

生きたくても生きれねえ やつがいるんだって
そんなんも考えないで 生きてる気になんなって
そうだろう? だってそうだろう
俺たちってただの人間って言われて終わりかもしんないけど
人間として生きてる 命として息してる
「これ以上素晴らしいことはない」って分かっている
心で分かっている 想いで分かっている
心で分かっている 想いで分かっている

今でも地球(ここ)にある 忘れ形見
いつか僕が きっと君に 届けるから
泣いている この星も僕も
僕は君を 君は僕を 愛せるはずだから
それぞれの命が生んだ
一人の祈りが生んだ 歌がここにある

いつも

流れ星が見えたら ねえ 夢よ叶えと祈るんだ
胸が裂けそうになったら それを君は恋と呼ぶんだ
怒りが僕たちを包む最後の光になるその日まで
僕は君を忘れはしないだろう 一度も出会うことはなくとも

君をきっと覚えている 僕はきっと覚えている
鳥も 森も 星も 月も あの子も 優しい地球は覚えている

今でも心に 忘れ形見
いつもここに ずっと胸に 溢れてんだよ

笑って 抱き合っている 君と僕とで
いつか必ず来る そんな時を待ちながら生きていこう
溢れ出さぬよう 忘れ去らぬよう
僕が消えて無くなる日が来るまで
ずっと ずっと ずっと

Today six billions of people are breathing, feeling, and living
Today fifty hundreds of children are starving, fearing, and dying

出典:RADWIMPS/祈跡 -in album version- - 作詞:野田洋次郎

曲の特徴

シングルバージョンは、早いテンポで繰り広げられるRAD独特の早口タイプの曲です。

一方のアルバムバージョンは、テンポがゆっくりになっていて、その分早口部分の歌詞がなくなっていたり、じっくり聴かせるようなタイプの曲です。

歌詞の内容は、初期RADにありがちな"君"と"僕"の二人だけの世界というよりは、それ以外の存在にも目を向けた、"人間"の"生"と"死"を描いているような作品です。

歌詞考察・解釈

まずは、シングルバージョン「祈跡」とアルバムバージョン「祈跡 -in album version-」では少し歌詞が異なる部分もあるので、それも区別しながら見ていくことにします。

 冒頭の英語詞部分

Today six billions of people are breathing, feeling, and living
Today fifty hundreds of children are starving, fearing, and dying
Would you tell me why? What could I do with this
Tell me why how could I remember this

出典:RADWIMPS/祈跡 - 作詞:野田洋次郎

 

今、まさにこの瞬間も、60億人の人類が、息をして、感じて、生きています。

一方で、それと同時に、今日も、5千人の子どもたちが、飢えて、恐れて、死んでいます。

以上がこの歌詞の状況です。

なお、この祈跡がリリースされたのは2004年で、2000年頃の世界人口は約60億人でした。

それが2022年の今では、約80億人に達しようとしています。

世界の飢餓人口とは?飢餓の現状
飢餓とは十分な食糧が得られず栄養不良な状態にあることを言います。

飢餓によって2018年時点では、世界では日に4~5万人、年間で1,500万人以上の人が亡くなっており、そのうちの7割が子どもたちと言われています。

出典:子どもたちを苦しめる飢餓状態。飢餓に耐える子どもたちの実状や支援方法は?

そして、上記の通り、飢餓に苦しむ子どもたちは当時よりも増加傾向にあることもわかります。

その現状に対して、僕、私は何が出来るのでしょうか。そのような問題の投げかけからこの歌は始まります。

人生はあなたのもの

シングルバージョンの場合は、さらに英語詞が続きます。

※シングルバージョンのみ

Life is yours because your imagination is all there for you
My love is for you because my inspiration is all here for me

出典:RADWIMPS/祈跡 - 作詞:野田洋次郎

この曲におけるyou(君)とme(僕)は、結構捉え方が難しいですね。初期RADの曲で定番の"君"と"僕"の関係とは少し異なった印象を受けます。

「Life is yours」というのは直訳すると「人生はあなたのもの」ですが、「自分の人生は自分のもの」って感じなのかなと思います。

その上で、「My love is for you(僕の愛はあなたのためにある)」という感じでしょうか。

あの空や星は何と言っているの?

※シングルバージョンのみ

Look upon the brightest stars
You never know you have your own in your body
That's the reason you ask yourself why??
What's the message that's written in the sky?
Would you tell me why?

出典:RADWIMPS/祈跡 - 作詞:野田洋次郎

この後の日本語詞でも出てきますが、空を見上げて、星を見て、感じること。その空や星は答えを持っているんでしょうか。

悲しい、そして悔しい

僕はなんだかとても悲しいよ
だって僕が笑っている隣で誰かが死んでいく
僕はなんだかとても悔しいよ
だってそれでも生きたいと思っている僕がここにいる

出典:RADWIMPS/祈跡 - 作詞:野田洋次郎

その現状に対して、僕は何も出来ません。その現実を忘れて、見ないふりをして、今日も笑って、明日も生きていたいと、そう思っているのです。

生きているだけで素晴らしい

やはりこの頃のRADは、歌詞が真っ直ぐです。表現が真っ直ぐです。

生きたくても生きれねえ やつがいるんだって
そんなんも考えないで 生きてる気になんなって
そうだろう? だってそうだろう
俺たちってただの人間って言われて終わりかもしんないけど
人間として生きてる 命として息してる
「これ以上素晴らしいことはない」って分かっている
心で分かっている 想いで分かっている
心で分かっている 想いで分かっている

出典:RADWIMPS/祈跡 - 作詞:野田洋次郎

文字通り受け止められますね。皆さんもどこかで、きっと聞いたり言われたりしたことがある言葉でしょう。

「生きたくても生きられない人がいるんだから、自分の命を大切にしない。生きているだけで素晴らしいんだから」

そんな言葉をRADなりの表現で、真っ直ぐに伝えてくれています。

地球(ここ)

今でも地球(ここ)にある 忘れ形見
いつか僕が きっと君に 届けるから
泣いている この星も僕も
僕は君を 君は僕を 愛せるはずだから
それぞれの命が生んだ
一人の祈りが生んだ 歌がここにある
今も

出典:RADWIMPS/祈跡 - 作詞:野田洋次郎

どこに逝けばいいの?

死んだ後の世界ってのを 僕は本当に信じたいよ
だって今日まで 幸せを知ることなく死んだあの人
いつかどこかで会えるの? 天国で報われるの?
僕らはどこにいくの? どこにいけばいいの?

出典:RADWIMPS/祈跡 - 作詞:野田洋次郎

何故同じでいられないの?

※シングルバージョンのみ

(Where do we go? Where do they go?
Why can't we be the same you and me)

出典:RADWIMPS/祈跡 - 作詞:野田洋次郎

「愛」ってやつを教えよう

笑うことなく 喜び合うことなく 消えた同士(とも)と再び出会う
天国ってとこで巡り合う その時胸張ってこう話す
「嬉しかった 美しかった「幸せ」ってやつが溢れていた
いつかまた行ってみよう 「愛」ってやつを教えよう」

出典:RADWIMPS/祈跡 - 作詞:野田洋次郎

私(わたし)→証(あかし)

※シングルバージョンのみ

回っているのはこの地球で
かつて大地は一つだって
あの星は 何億年前の光で
宇宙はだんだん膨らんでいて

でもそんなことじゃなくて もっともっと他にあって
「この星に生きていた私たちは」って言うための証たちが

出典:RADWIMPS/祈跡 - 作詞:野田洋次郎

怒り(いかり)→光(ひかり)

流れ星が見えたら ねえ 夢よ叶えと祈るんだ
胸が裂けそうになったら それを君は恋と呼ぶんだ
怒りが僕たちを包む最後の光になるその日まで
僕は君を忘れはしないだろう 一度も出会うことはなくとも

君をきっと覚えている 僕はきっと覚えている
鳥も 森も 星も 月も あの子も 優しい地球は覚えている

出典:RADWIMPS/祈跡 - 作詞:野田洋次郎

地球(ここ)→心(こころ)

今でも心に 忘れ形見
いつもここに ずっと胸に 溢れてんだよ

笑って 抱き合っている 君と僕とで
いつか必ず来る そんな時を待ちながら生きていこう
溢れ出さぬよう 忘れ去らぬよう
僕が消えて無くなる日が来るまで
ずっと ずっと ずっと

出典:RADWIMPS/祈跡 - 作詞:野田洋次郎

締めくくり(アルバムバージョンのみ)

アルバムバージョンの場合は、再び冒頭の歌詞に戻ります。

Today six billions of people are breathing, feeling, and living
Today fifty hundreds of children are starving, fearing, and dying

出典:RADWIMPS/祈跡 -in album version- - 作詞:野田洋次郎

最初と最後で同じ歌詞。これがこの曲のメインテーマですね。

 

そして、曲の長さが8分4秒(happen for)で終わるという話を改めて考えてみますと、「miracles happen for you」とかそういうことを言いたいのですかね。

最終的に、祈跡から奇跡が起こって欲しいという想いも込められているのかもしれませんね。